わたしたちの
名品図鑑

aranciato's Masterpiece Book

#8 | 2023.3.25 UPDATE

洋服や靴、鞄など数多くのファッションアイテムの中には流行に左右されず、多くの人からずっと愛されてきた“名品”がたくさん存在します。アランチェートのアイテムの中からそんな名品をピックアップしてご紹介いたします。第8弾はChimalaのデニムパンツです。

＜チマラ＞のデニムパンツ

日本人デザイナー・町田典子夫妻が手掛けるchimala。ヒマラヤ山脈の架空の山をブランド名に冠し、1950年代から1970代のミリタリーやワークウェアにインスパイアされたものづくりをおこなっています。

chimalaは2006年からN.Yを拠点に活動を行っていましたが、創立以来一貫してこだわっていたのは日本生産であること。デニムづくりに欠かせない染色・紡績・縫製の技術の高さはもちろん、「シャトル織機」と呼ばれる戦前の古い織機が現役で活躍しているのも大きな理由です。

シャトル織機は手織りに近いため、織るスピードは現代の高速織機の1/4から1/5ほど。非常に非効率ですがゆっくりと時間をかけることで、不均一でぼこぼことした凹凸が生まれ、豊かな表情を生まれます。

生地もさることながら他の追随を許さないのが加工の美しさ。星の数ほどあるデニムの中でもchimalaほど、本物の質感を表現しているブランドは他に見当たりません。

はっきりした色落ちなどいかにも「ヴィンテージ」な表現をするブランドが多い中、chimalaはあくまで自然体。オーナーが気軽に毎日履いて、じゃぶじゃぶ洗濯を繰り返したような力の抜けた雰囲気がとてもこなれています。

日本のアトリエにて精緻なステッチやウォッシュ加工のほか、職人が手作業でダメージ加工を施しています。全行程が手作業。

錆びた鉄製のボタン。ちょっとした部分の擦れなど見逃してしまいそうな細かな部分にもダメージ加工が。

まるで裾を擦って切れてしまったようなデザイン。一見切っただけのように見えますが、両端はチェーンステッチで留められているなどとても繊細な手仕事が施されています。

白のカットソーと合わせて潔く。合わせるアイテムは光沢感のある上質な生地や素材を選ぶと〇

パキッとしたヴィヴィットなトップスもデニムのフェード感が落ち着かせてくれます。

ウォッシュしたブルーはトレンドカラーのイエローとも相性抜群。

メンズライクなブルゾンをバサッと。中に女性らしいアイテムを覗かせるのがポイント。

気の遠くなるような細かな手仕事を経て完成するchimalaのデニム。何十年と時を経たものにしかない美しさを見事に再現しています。ここから穿き込むことで自分だけのヴィンテージに仕上げていくのが楽しみな一本です。